天体望遠鏡の選び方や仕組み・おすすめメーカー

天体観測に欠かせない天体望遠鏡。
肉眼では見えない遠くにある星が確認できるなんて、不思議ですよね。

そこで天体望遠鏡の仕組みや使い方、買い方などについて紹介します。

天体望遠鏡の仕組み

アストロNOTE

星を見るときに知っておきたいのが天体の知識。 すべて覚えるとなると大変ですが、基礎を押さえておくだけで、星の観測がずっと楽しくなります。 そこで、星に関するものごとを中心に、天体の基礎知識について紹介していきます。 目次 1 星と星座につい[…]

天体望遠鏡の起源

天体望遠鏡の起源は、17世紀初頭にオランダの眼鏡屋が発明した「筒眼鏡」です。
遠くにある物体を目の前で見ることができる画期的な発明で、軍隊などでも使用されたようです。

この筒眼鏡に興味をもったのが、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイです。
ガリレオは自作した筒眼鏡で夜空を観測し、月の表面が地球に似ていること、天の川が星の集まりであること、木星の周りには4つの衛星が公転していること、太陽には黒点があることなどを発見しました。

わたしたちが使っている入門用の望遠鏡以外にも、地球周回軌道を公転する宇宙望遠鏡や、地上にある複数の電波望遠鏡を使ってそれぞれの観測データを組み合わせる干渉計などがあります。
天体望遠鏡はたった400年の歴史ですが、その技術の進歩には目を見張るものがあります。

天体望遠鏡の性能

では、天体望遠鏡の性能は何によって決まるのでしょうか?

結論を先に述べると、「口径(筒の直径)」です。

読者の中には「倍率」が天体望遠鏡の性能を決定すると思った人もいるかもしれませんが、口径に比べると重視されません。
倍率を上げすぎても、像の細部は見えてこず、暗く大きくぼやけた印象で見えるだけなのです。

口径が天体望遠鏡の性能で大事なのは、口径が大きいほどたくさんの光を集めることができるからです。
つまり、天体望遠鏡は天体を明るく観測するための道具だと思って差し支えありません。

下記に、口径と倍率の関係を表にしましたので、参考にしてみてください。

口径\倍率 低倍率(30~70倍) 中倍率(70~140倍) 高倍率(140倍~)
〜60mm ・面全体が見られる(月)
・全体の姿がこじんまりと見える(土星)
・無数のクレーターや海の表面の形状が見られる(月)
・環やタイタンが見やすくなる(土星)
・本体の縞模様が見えることがある(土星)
80mm ・面全体がはっきり見られる(月) ・クレーターの状態や山ひだがはっきり見える(月)
・本体の縞模様、環の濃淡が見える(土星)
・面の2分の1が視野いっぱいになる(月)
100mm - ・小クレーターを観測可能(月)
・衛星が2個見える(土星)
・多くの裂け目や山々の詳細がわかる(月)
・本体の縞模様が見え、環が3つにわかれて見える(土星)
150mm〜 - ・小クレーターの詳細が観測可能(月)
・衛星が5個見える(土星)
・小さい起伏と裂け目の詳細がわかる(月)
・本体の縞模様が見え、最外環がはっきり見える(土星)

天体望遠鏡の選び方より

天体望遠鏡の構成

天体望遠鏡は大きく分けて、鏡筒、架台、脚(三脚)の3つからなります。

鏡筒は、望遠鏡の命でもある対物レンズが組み込まれている筒状のパーツです。

架台とは、鏡筒と三脚のあいだに挟まれた、望遠鏡を上下左右に動かし、しっかりと固定するパーツです。
架台には、経緯台と赤道儀の2つがあります。
経緯台は、鏡筒を水平と垂直の2方向に動かして天体をとらえられる架台のことです。
もうひとつの赤道儀は、星を追尾できる架台です。
というのも、天の川などの天体写真撮影は数分から数十分という長い時間露出しなければならず、星の日周運動にあわせて鏡筒を移動させる必要があるからです。

最後の脚(三脚)というのは、鏡筒などを下から支える土台のことです。

天体望遠鏡の種類・使い方

天体望遠鏡の種類

望遠鏡は鏡筒の種類によって、屈折望遠鏡と反射望遠鏡に分かれます。
屈折望遠鏡は、筒先に大きなレンズで天体の像を結合させるタイプの望遠鏡です。
一方反射望遠鏡は、反射鏡で天体の像を結ばせるタイプの望遠鏡です。

天体望遠鏡の組み立て方

天体望遠鏡の組み立ては、マニュアルを見ながら下から上へ組み立てていくことです。

  1. まず高さ調整ネジを使って、三脚を適当な長さに伸ばします。
    三脚を広げて、あとは小物などを置けるアクセサリートレイを、中央に固定するだけです。
  2. 続いて架台を三脚に取りつけます。
    架台と三脚が一体型の場合はこの作業は不要で、微動ハンドルを上下微動シャフトと左右微動シャフトに差し込んで取りつけるだけです。
  3. 次に、鏡筒を架台に取りつけます。
    架台のプレートホルダーについている鏡筒固定ネジを緩めます。
    鏡筒のアタッチメントプレートをプレートホルダー中央に合わせてはめこんだあと、ネジを固定して完了です。
  4. 最後にファインダーなどアクセサリの設置です。
    ファインダーとは、天体をとらえるときに、照準を合わせるために必要な小型望遠鏡のことです。

天体望遠鏡の使い方

天体望遠鏡の視界は非常に狭いので、天体をとらえるのは簡単ではありません。
そこで視界の広い小望遠鏡を使って見たい天体の位置の見当をつけて、望遠鏡を向けようというのがファインダーの役割です。

ファインダーの視準を、天体望遠鏡の視準を平行になるように調節してやります。
なおファインダーは小口径のため、直接見えない天体もあります。
天体の位置のわかる星図などを利用し、目的天体の周りにある明るい星々の並びから見当をつけて、望遠鏡の視界にとらえましょう。

天体望遠鏡の買い方

天体望遠鏡の選び方

望遠鏡選びで最大の悩みが、屈折望遠鏡にするか反射望遠鏡にするかです。

同じ口径の場合、反射望遠鏡のほうが割安ですが、鏡面の掃除や光軸の修正などわずらわしさがあります。
他方屈折望遠鏡の場合、操作性の良さとメンテナンスが楽なことから、初心者にとってうれしいメリットがあります。

もう一点注意しておきたいのが、微動装置が架台についているかどうかです。
架台には、望遠鏡を大きく動かす粗動しかないタイプと、細かく動かして微調整できる微動つきタイプの2種類があります。
微動装置がないと、天体を視野の中央に導くことが難しいです。

天体望遠鏡の価格

天体望遠鏡は、口径が大きいほど価格が高くなります。屈折望遠鏡の場合、口径8センチなら5万円程度、口径10センチなら10万円前後もします。
反射望遠鏡は、レンズよりもミラーのほうが、直径の大きなものを作りやすいため、その分屈折望遠鏡よりも安くなります。
同じ口径でも、EDレンズが使われていたり、望遠鏡の造りがしっかりしていると、価格が高くなります。

おすすめの天体望遠鏡

天体望遠鏡を販売するメーカーは、いくつもあります。
その中でも国内でトップシェアを誇るのがメーカー・ビクセン(Vixen)で、おすすめできる天体望遠鏡がいくつもあります。

おすすめ天体望遠鏡一覧

架台部には上下、水平方向に微調整で動かせるハンドルがついていますので、目的の星を導入しやすく観測の際は便利です。簡易ウェッジを内蔵しているため、赤道儀(天体を追尾できる架台)としても簡易的に使用できます。
鏡筒部対物主鏡有効径70mm/アクロマート/マルチコーティング 900mm(F12.9) 1.66秒・11.0等 肉眼の100倍 長さ860mm外径76mm2.5kg(本体1.9kg)。6倍24mm実視界5度。
メーカー型番 39954。対物レンズ 反射式・放物面・マルチコート。有効径 130mm。焦点距離 650mm。口径比FF7.5。集光力 肉眼の131倍。極限等級 11.3等星
メーカー型番 39952-9。対物レンズ 屈折式アクロマート・マルチコート。有効径 80mm。焦点距離 910mm。口径比 1 11.4。集光力 肉眼の131倍。極限等級 11.3等星

ビクセン以外にも、ミード(MEADE)やミザール(MIZAR)、セレストロン(Celestron)などがあり、メーカーごとに特徴があり、価格帯も広いです。
初めて天体望遠鏡を購入する場合、簡単に選ぶことはできません。
ですので、望遠鏡ショップの店員や天文ファン、天文台やプラネタリウムの職員などに尋ねてみましょう。
ただし、使用目的や予算をはっきりさせておくのが大事です。

まとめ

天体には星雲や星団、流星群などさまざまあります。
写真で見るような美しい天体を、天体望遠鏡でナマで味わってみましょう。
天体観測が大好きになること間違いなしです。

参考

天体望遠鏡の選び方
干渉計
誰でも使える天体望遠鏡
プロセスでわかる天体望遠鏡の使い方
火星の素顔