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天体を楽しもう!覚えておきたい基礎知識

星を見るときに知っておきたいのが天体の知識。
すべて覚えるとなると大変ですが、基礎を押さえておくだけで、星の観測がずっと楽しくなります。

そこで、星に関するものごとを中心に、天体の基礎知識について紹介していきます。

星と星座について

恒星と惑星

太陽の周りを地球や木星、土星といった惑星が公転しています。
これらの惑星や、太陽のような恒星は、宇宙空間にたくさん存在します。

では、宇宙空間にどのくらい星が存在するのでしょうか?

私たちの住んでいる太陽系は、銀河系(天の川銀河)という、巨大な天体に属しています。
銀河系だけで星の数は2000億個あるといわれています。
宇宙には銀河が1000億個あるといわれていますので、想像できないくらいの星が存在しているわけです。

星座とは

晴れた日に夜空を眺めると、明るさの異なる星がたくさん散りばめられています。
やぎ座やさそり座といった星座は、メソポタミア時代のシュメール文明に起源をもちます。
これが古代エジプトやギリシャへと伝わり、星が描く図形に動物や神話に登場する神の名前がつけられました。

現在用いられている星座は88個ありますが、これらは1928年に国際天文連合によって決められたものです。
どの星もきちんといずれかの星座に属するように決められているわけですね。

星座は数種類の星から構成されますが、基本的に明るい星からギリシャ文字でαから順番に番号が割り振られています。

流星・星団・星雲

宇宙空間に数多存在する天体にも、種類があります。
月や火星など太陽の光を反射して見える惑星や衛星もありますが、輝いて見える星のほとんどは、自ら輝く恒星です。

流星(流れ星)は恒星ではありませんが、彗星や小惑星が大気圏に近づいたときに輝いて見える天体です。
ある一点から放射状に出現する流星の集団が流星群で、ふたご座流星群やペルセウス座流星群など人気のある天体です。

アストロNOTE

あなたは、「流星」や「流れ星」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。 『流れ星が見えている間に3回心の中で願い事を唱えると、その願い事は叶う』と 誰かから教えられたことを思い出したでしょうか。 そんな流れ星こと流星群について書いていきます。 […]

星雲・星団もまた、流星同様に、天体観測で人気があります。
星団は恒星の集まりで、数十個から数百万個単位の恒星から構成されています。
他方星雲は宇宙の塵からなる天体で、光を放つ散光星雲を私たちは目にすることができます。

天体の運動

天体の運動は大きく分けて、3種類あります。

日周運動

星は動いているように見えるのは、地球は自転しているためです。
しかし古代の人たちは、地球の周りを星が貼りついた天球が回っているものと考えました。

夜空を輝く星は、東から昇って西に沈むように私たちからは見えます。
地球は1日かけて東回りに1回転しますが、地球からは天球上の輝く星たちが回転するように見えます。

この回転運動が日周運動と呼ばれます。

年周運動

では星たちは、一年中同じ見え方をするのでしょうか。

答えはノーです。

冬に見える星座、夏に見える星座と、季節ごとに観測できる星座は異なります。
これは、地球が1年かけて太陽の周りを公転するためです。
地球の公転によって、星の位置が西に向かって1°ずつずれていきます。

この1年かけて星の位置がゆっくりと動いて見える運動が、年周運動です。

歳差運動

地球の地軸は、コマのように回転しています。
1回転するのに、約26000年かかるほどゆっくりとした運動です。
この地軸が動くと、日周運動の中心がずれます。

天体は天の北極を日周運動しているように見えます。
この天の北極は、約26000年かけて半径23.5°の円周上を1回転します。

地軸の回転が原因で日周運動の中心が移動するのが、歳差運動です。

太陽系の星の動き

天球上には、星座を構成する星たちのほかに、太陽系の惑星や恒星(太陽)が見えます。
天球上を太陽が移動する通り道が、黄道と呼ばれます。

太陽系の惑星や小惑星は、ほぼ黄道に沿って動いて見えます。

一方地球の衛星である月もまた日周運動して見えますが、月は地球の周りを約27日かけて公転しています。
そのため太陽の光に照らされる部分が変化し、月の満ち欠けが生じるのです。

星の明るさと色

夜空を彩るのが、色や明るさの異なる星たちです。

等級

夜空から見える星の明るさに違いがありますが、これはあくまで見かけの明るさであって、暗い星も地球の遥か彼方では明るく輝いています。

この星の見かけの明るさは、等級によって表されます。
古くは肉眼で見えるもっとも明るい星を1等星、最も暗い星を6等星と、等級は6段階に分類されていました。
いまでは、1等星は6等星の100倍の明るさと定義されています。

ただし望遠鏡で覗くと、6等星よりも暗い天体が観測されます。
すばる望遠鏡では、28等星の暗い天体まで撮影可能です。
逆に1等星よりも明るい星もあり、金星はマイナス4等星程度の明るさです。

星の色

天体は明るさだけでなく、色も異なって見えます。
たとえばオリオン座には、オレンジ色をしたベテルギウスと、青白く輝くリゲルがあります。

この色の違いは、恒星の場合、表面温度と関係があります。
青白い星は1万度以上の表面温度で、赤い星は約3000度です。

星の色の情報は、多くのことを私たちに教えてくれます。
星の光を特殊な観測装置を使って分析(分光)すると、表面の温度だけでなく、大気中の物質の成分量や星の運動の様子までわかるのです。

まとめ

天体に関する基礎知識はまだまだあります。
しかし天体の知識を得るための一番いい方法は、実際に夜空を見ることです。
星図や星座早見、あるいはプラネタリウムと比較しながら、少しずつ星座の種類を覚えていくといいのではないでしょうか。

参考

アストロアーツ「天文の基礎知識」
天体写真の世界「天文や星空の基礎知識」
宇宙科学研究所キッズサイト
『星百科大事典 改訂版』
『星空の見方がわかる本』
『星空の教科書』